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電動車いすの選び方~意匠性~

こんにちは! 『車いす工房 輪』サポートライターのこばやしです。
電動車いすの機種や機能が決まったら、次に決めるのはです。最近は、各機種とも色の選択肢がたくさんあります。今回は、5つの機種のカラーバリエーションをご紹介します。

■F3 Corpus/permobile(ペルモビール)

ペルモビールF3 Corpus(ペルモビール株式会社 ホームページより)▶ https://permobilkk.jp/products/f3

 

服や持ち物を選ぶときのように、見た目にも美しい電動車いすを選んで
欲しいとペルモビールは考えています。気兼ねなく外出できるお洒落なデ
ザインの製品をご提案します。

電動車いす製品カタログ(Permobil)より

ペルモビール株式会社が掲げる電動車いすの3つの特徴のうちの1つに、上記の「優れた意匠性」とあります。「ペルモビールF3 Corpus」は、10色の通常カラー+プレミアムカラー3色の、計13色という驚きの色展開
「フラミンゴ」「カナリア」「ミッドナイト」など、それぞれの色についた名前もかっこいいですね。同じ青系や赤系でも微妙な濃淡があり、しっくりくるものが見つかりそうです。ホームページの、13色ずらりと並んだ電動車いすは圧巻です。

新しくなったF3

 

 

■TDX-SP2/Invacare(インバケア)


TDX-SP2は、黒いフレームに合わせる本体カバーとホイールカバーが10色の中から選べます。
本体カバーとホイールカバーはそれぞれ別の色が選べるそうなので、色の組み合わせは100通り!?
誰ともかぶりたくない、そんなあなたへ。

TDX-SP2 アメリカインバケア

 

■BRIDGE/CTM

BRIDGEカタログ(昭和貿易株式会社 ホームページより)▶ http://showa-boeki.co.jp/bridge/bridge.pdf


私も乗っているBRIDGEは、落ち着いた色が中心の5色展開です。フレームの色もさることながら、注目したいのがホイールのデザイン。スポーティーな感じが私は気に入っています。

 

■Q300Mmini/QUICKIE(クイッキー)

Q300Mminiカタログ(サンライズメディカルジャパン株式会社 ホームページより)▶ https://sunrisemedical-japan.jp/common/pdf/QUICKIE/electric/catalogue/Q300M_Mini_Bro.pdf


ホイールとキャスターは7色展開、シュラウドは12種類の特別色と、色もデザインも豊富なQ300。組み合わせも考えると、どれにしようか迷ってしまいそうですね。選択肢がたくさんあって楽しそうです。

■PASEO/株式会社今仙技術研究所

PASEOカタログ(株式会社今仙技術研究所 ホームページより)▶ https://www.imasengiken.co.jp/product/emc/emc-260_270.html


シートの色が選べるのは珍しいのではないでしょうか? PASEOは、シートの色が4色、さらにフレームとホイールカバーの色も豊富です。組み合わせ次第で、クールにもかわいい雰囲気にもなりそうですね。

 

工房で改造した電動車いす

車いす工房 輪では、メーカー既存のものではなく、電動車いすのパーツを分解して塗装したり、ユーザーさんご自身で持ち込んだ布で座位保持カバーの縫製を行ったりした例もあります。こだわりが詰め込まれたオーダーメイドの電動車いすと言ってもよさそう。ユーザーさんの情熱もすごいですね。

こだわりをつめこむ事ができた車いす

電動車いすにこだわりを

 

自分が好きな「色」を連れて出かけよう

毎日乗る車いすだからこそ、自分で選んで納得できるものを

自分の好みじゃない洋服、ヘアスタイルで外出しなきゃいけないと思ったら、心が暗くなりませんか? 外出そのものが嫌になってしまうかもしれません。それと同じように、電動車いすのデザインは、機能と同じくらい重要なものだと私は考えています。もちろん、外見に気をつかえるような気持ちの余裕がないときもありますが、そんなときでも、電動車いすはいつも自分の一部として、自分が一番納得できる“お気に入り”でいてほしいのです。

私が「黒」を選ぶ理由

ここまで豊富なカラーバリエーションをご紹介してきましたが、現在4台目となる私の電動車いすは、1台目から一貫して「黒」。黒を選んだきっかけは、明るいものではありませんでした。
電動車いすを使い始めたのは、今から20年以上前。エレベーターがある高校に進学することがきっかけでした。当時街中で電動車いすユーザーを見かけることがほとんどないという環境のなかで、同じ年齢、同じ制服の同級生たちの中に飛び込むのですから、電動車いすというだけで大変目立ちます。それが嫌だった私は、「なるべく目立たないように」という理由で黒を選んだのでした。

徐々に気持ちの変化が……

そんな理由で黒を選んだ私ですが、高校生活が始まってしまえば電動車いすで自由に動ける喜びのほうが大きく、「目立ちたくない」という当初の理由はどこかへ行っちゃいました。初めて作った電動車いすは10年近く乗っていたので、愛着があるからなのか、機種を変えて4台目となった今も選ぶ色はずっと「黒」。今はネガティブな要素はなく、一番愛着があり安心する、私が納得できる色なのです。


私が電動車いすを作った頃は、色以前に選べる機種が本当に少なかったです。そのデザインが気に入らず、「どうしても嫌!」と半泣きでお願いして、当時通っていたリハビリセンターでは扱ったことがない機種を紹介してもらいました。15歳の頃のことです。そこでの前例を作れたらしいので今となってはよかったと思いますし、当時私の思いを汲んでくれた周りの人たちにも感謝しています。
今回のコラムを作成するにあたりいろいろと調べているうちに、各メーカーのカラーバリエーションやデザインの豊富さに驚くと同時に、うれしく思いました。これから電動車いすを作る方は、「目立たないように」なんて思わずに、自分の好きな色を選んでどんどん出かけてほしいですね。

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文/こばやし

電動車いすユーザーで、SMA(脊髄性筋萎縮症)2型による四肢体幹機能障害。介助を受けながら在宅ワークをしている。