G-TRAC、ESPのススメ
2020年を目処に高速道路の自動運転技術が実用化というニュースを
目にするようになりました。本当に実現するんでしょうか?
自動車の進化は、速いですね。
電動車椅子も負けてはいられません。
実用化はまだしていないようですが、こんなモデルもあるようです。
お客様からの情報
http://scalevo.ch/
こちらは別のお客様から寄せられた情報
http://www.digimonostation.jp/0000052635/
更に別のお客様からはこんなネタも
http://www.huffingtonpost.jp/engadget-japan/173km-mobility-scooter_b_9191502.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001
まぁこれはとても真似できないですね。命がけのネタですね。
見た目には全く分からないのですが電動車椅子にも
すでに数年前から実用化し、
実際に販売実績のあるすごい機能があります。
すでに使われている方も多いとは思いますが、
是非お薦めしたいオプションがインバケア社のG-TRACです。
ペルモビール社のESP、今仙技研の片流れ抑制制御装置も同じような機能です。
まずはインバケア(昭和貿易)の動画をご覧ください。
http://www.showa-boeki.co.jp/business/healthcare/files/G-Trac%20Demo.swf
動画の中で、LATCHED DRIVING と書いてあるのは、ラッチ走行のことです。
通常電動車椅子はジョイスティックを倒している間だけ、
倒している方向に進みますが、ラッチ機能を使うと前進方向に倒して
ジョイスティックを離しても直進し続ける機能です。
インバケアのほとんどの電動車椅子にはこの機能が内蔵されていますので、
プログラムを変更するだけで、この機能を使用することが出来ます。
この動画ではG-TRACの機能を分かりやすく比較するために
ラッチ走行の比較動画になっています。
ラッチ走行が必要なユーザー様は顎で操作する人、息で操作する人、
ジョイスティックを倒し続けることが出来ない疾患の人
など様々です。
ラッチ走行を使用するユーザーには動画でもわかるように、
G-TRACは安全に走行するためには、必須な機能だと考えています。
片流れの斜面でも、凸凹があっても基本的には直進し続けます。
先日、脳性麻痺で緊張の強いユーザー様に試乗していただきました。
(操作はラッチ操作ではなく、押している間だけ進む一般的なジョイスティック操作です。)
このお客様の今の電動車椅子はアメリカインバケのトルクで、
試乗車もアメリカインバケアのトルク(G-TRAC付き)です。
細かな仕様の違いはあってもだいたい同じ車椅子です。
今まで乗っている電動車椅子の走行プログラムは何度も調整しているので、
緊張による不随運動を平滑化するように、お客様に合わせて走行の感度の調整等の変更を行なっていました。
試乗車では一般的なプログラムのまま、G-TRACをONにしました。
試乗して頂いた結果、驚くべき走行の安定が図れました。
お客様は最近は緊張が強くなり、ある程度の蛇行も仕方ないと思っていましたが、
蛇行せずに真っ直ぐ走るのです。
走行状態を観察しました。
特に段差や凸凹がある時などに蛇行が見られました。
凸凹があった時のプロセスとしては以下のとおりです。
【G-TRAC オフ】
前輪が凹凸にあたる
前輪キャスターの向きが変わる
前輪キャスターの向きに合わせて、電動車いすの向きが変わる
方向を補正しようと、変わった向きと反対方向にジョイスティックを倒す
緊張が出る。体が揺れる。
補正しすぎて(戻しすぎて)しまい、また逆方向に
これの繰り返しで蛇行していました。
【G-TRAC オン】
前輪が段差にあたる。
前輪キャスターの向きが変わる。
G-TRACによる補正が働くので、電動車椅子の向きは変わらない。
ジョイスティックの向きを補正する必要が無いので、そのまま手(腕)の動きをロックした状態で、安定して直進走行
緊張が強く、蛇行してしまう方は、まずは感度調整や走行プログラム(加速度)などの
調整が必要になりますが、G-TRACもお試しください。
自費で取り付ける場合新車+6万円のオプションになります。
上記の例の方は、他の要因もあリ詳しくは書きませんが、
特例給付でG-TRAC機能が支給されることになりました。
もちろん、どなたにとっても必要な機能だとは思いますが、
全員に支給される訳ではありませんし、個々の条件により判定内容が異なりますことはご了承ください。
昨年厚労省より、この機能についての公式見解が出ましたので、
当工房でも支給されることが多くなりました。
http://www.techno-aids.or.jp/mhlw/08_150402.pdf
事 務 連 絡
平成27年3月31日
都 道 府 県
各 指 定 都 市 障害保健福祉主管課 御中
中 核 市
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
企画課自立支援振興室
補装具費支給に係るQ&Aの送付について
Q6 傾斜地での操作性や安全性を向上させることを目的とした電動車椅子の
部品について、来年度更新申請を予定している障害者より、現時点では修理
基準に乗っていない未発売部品であるが発売された場合に申請したいとの事
前相談があった。実際に申請があった場合に、どのように対応すべきか。
また、今後修理基準への規定は行われるのか。
A 修理基準に規定されていない修理の扱いについては、補装具費支給事務取
扱指針第 2 の1(6)にあるとおり、その必要性が認められ補装具費の支給を行
う場合には、原価計算による見積もり又は市場価格に基づき適正な額を決定
し、支給することとなる。
当該部品については、一般的なジョイスティック型の電動車椅子はもちろ
んのこと、特にチンコントロール等の特殊なコントローラを使用する者など、
繊細なコントロールが求められる者にとって、その操作性を向上させると共
に、傾斜地における直進安定性についても向上が図られると聞いており、個々
の状況に応じてその必要性を判断した上で特例補装具として支給することが
可能である。
修理基準への位置付けは、今後の支給状況等を踏まえつつ検討することと
している。
多くの皆様に、真に必要な物が届くことを願っております。
浅見