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電動車いす~屋外での走り方のポイント~

こんにちは! 『車いす工房 輪』サポートライターのこばやしです。今回のコラムでは、屋外で電動車いすを操作するとき、段差の乗り越え方やスロープの上り下りで私が特に気をつけているポイントをご紹介します。 

■段差の乗り越え方 

電動車いすはパワーがあるので、少しの段差ならほぼ乗り越えられます。しかし、段差に対してそのまま突き進んでしまうまえに、気をつけたいポイントがあります。

●段差の前で一旦停止 

段差の前で一旦停止し、ゆっくり乗り上げます。ふだん走っているスピードそのままに段差を乗り越えようとすると、乗り越えられなかったときに体が前に飛び出して危ないのはもちろん、フォーク(※)の破損にもつながります。 

※フォークとは、駆動輪ではないタイヤを支えるパーツのこと。(後輪駆動の電動車いすなら、フォークは前輪にある)

衝撃でフォークが破損し支柱が曲がってしまうと、まっすぐに走らなかったり、電動車いすを回旋させるときにバッテリーボックスにぶつかったりしてしまうので、早めの修理が必要になります。

●タイヤは段差に対して直角に 

段差に対する前輪の角度は、なるべく直角になるようにします。これは、段差に対してタイヤが斜めになっていたり水平になっていたりすると、うまく乗り越えることができないためです。

●一人で登れない段差で人の手を借りるとき 

電動車いすのパワーだけでは乗り越えられない段差のときは、誰かに手を貸してもらうこともあると思います。まずは前輪を段差に乗せるために、電動車いすの前の部分を持ち上げてもらい前進→前輪が段差に乗ったら今度は後ろから持ち上げてもらって前進し、後輪を乗せます。電動車いすを操作する人と持ち上げる人のタイミングが合わないと双方危険なので、注意が必要です。 とくにレッグサポートは取り外しが出来るタイプが多く、外れると危険なので、支える際には注意しましょう。

【自己流?】片方のタイヤずつ段差を乗り越える 

乗り越えられるか微妙な高さの段差のとき、電動車いすはがんばって力を出して乗り越えようとします。なんとか乗り越えられたとしても、その瞬間に力が解放され、衝撃で体がずれてしまうことがあります。私はこれが心配なので、タイヤは片方ずつ段差に乗せるようにしています。前輪を揃えて乗り越えるよりも少し衝撃が和らぐ気がします。(ちょっとコツがいるし、正しい方法かはわかりません……) 

■スロープの上り下り 

角度が急なスロープや、一時の段差解消のためのスロープなども、安全に利用するためのちょっとしたポイントがあります。 

●スロープを下りるときはティルトを有効に使う 

特に角度が急なスロープを前から下りるときは、注意しないと体が前に倒れそうになります。ティルト付きの電動車いすなら、ティルトの角度を上げて座面と地面を水平にすれば、それが解消されます。

●バスのスロープは転倒に注意 

バスのスロープは何種類かありますが、スロープ自体の幅が狭かったり、角度が一定でなかったり(スロープの途中から急に角度がきつくなる)します。本来なら、乗車するときスロープに対してまっすぐにアプローチしたいのですが、バス停が狭いとそれができないことも。前輪をスロープに乗せられても、後輪がついてこなくて転倒してしまう……なんてことのないよう、落ち着いて上り下りしましょう。運転手さんには、スロープを上るときは後ろから見ていてもらうと安心です。

●電車のスロープは、ずれないように 

電車の乗り降りで使うスロープは、その都度置いて使うものなので、固定されていません。乗り降りのときのタイヤの衝撃でスロープがずれないように、駅員さんには、足で踏むなどして必ず押さえていてもらいましょう。

段差の乗り降りもスロープの使い方も、回数を重ねるうちにコツをつかんできます。電動車いすを運転するときの、自分では気づかない「クセ」のようなものもあるのか、私は不思議と右前のタイヤばっかりすり減ります。利き足ならぬ利き輪かもしれません。

運転のコツが無意識に身につくころには、移動範囲が広がっているかもしれませんね。

まずはいろいろ試してみてください。

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文/こばやし

電動車いすユーザーで、SMA(脊髄性筋萎縮症)2型による四肢体幹機能障害。介助を受けながら在宅ワークをしている。