こんにちは! 『車いす工房 輪』サポートライターのこばやしです。全6回でお届けしてきた電動車いすでおでかけシリーズも、今回がラスト。最後は「飛行機編」です。
■飛行機に乗る前に確認しておきたいこと
・電動車いすに乗ったままでは搭乗できない
電車やバスと違い、電動車いすに乗ったままでは飛行機に搭乗できません。電動車いすは機内には持ち込まず、“受託手荷物”として、飛行機の貨物室に預けます。そのため、機内の座席に移乗する必要があります。
・チケットを予約するときに伝えること
チケットを予約するときに、電動車いすユーザーであることを伝えましょう。そのあとは、航空会社の指示に従って、電動車いすのサイズやバッテリーの種類などを伝えます。
※バッテリーの種類について
国土交通省が定めた「電動車椅子で航空機を御利用される場合のルール」というものがあります。航空会社からも確認があるので、いつも使っている電動車いすのバッテリーの種類を把握しておきましょう。
なお、電動車いすの場合、航空会社から「シールドバッテリー」か「ドライバッテリー」か、または「※液体バッテリー」か聞かれます。(※液体バッテリーとは、補充液を自分で補液するタイプのバッテリーです)
現在販売されている電動車いすのバッテリーのほとんどは、シールドバッテリーかドライバッテリーです。
■チェックインから搭乗まで
電動車いすもスーツケースなどと同じように、チェックインが必要になります。カウンターでチェックインを済ませたら、空港で用意された車いすに乗り換えて手荷物検査へ……といった流れになりますが、乗り慣れていない車いすに長時間乗っているのは大変です。必要な場合は、搭乗口付近まで自分の電動車いすを使いたいことを伝えましょう。
電動車いすを預けるときは、ロックの仕方も忘れず伝えます。海外へ行くときなどは、あらかじめこんな工夫をしておくと伝わりやすいかもしれません。
搭乗口から機内の座席までは、手すりを外した機内用の車いすを利用できますが、座位が安定しない場合はちょっと危ないです。介助者が前から支えたり、可能なら車いすは使わず、座席まで直接抱えていってもらったりします。
機内専用車いす例
また、座位を安定させるためには、飛行機の座席に座ったあとも工夫が必要です。空気で膨らむクッションをいくつか持ち込んで首や足を支えたり、足りない部分は機内の毛布を借りて体のすき間に押し込んだりしてようやく完了です。
■機内のトイレはどうする?
狭い&揺れることで、飛行機のトイレは難易度が高め。短いフライトなら、搭乗前に済ませておきたいところです。エコノミークラスのトイレは介助者を伴って入ることは難しいので、ビジネスクラスのトイレを使わせてもらうなどしましょう。(ちょっと広くできています)
■到着したら
係員の人の案内に従って、電動車いすを引き取ります。慣れている電動車いすに乗り換えて、ホッとする瞬間です。
航空会社によっても搭乗の方法は異なるので、事前に必ず確認しましょう。電動車いすを預けるときは、コントローラーなどのデリケートな部分を緩衝材とガムテープなどで簡単に梱包しておくと安心です。
バッテリーの種類は、事前に申告しても、搭乗するまでに何度か質問されます。私はふだんよく分からなくなってしまうのですが、飛行機に乗るときはすぐに答えられるようにしておきましょう。電動車いすの取扱説明書を持参しておくと便利かもしれないですね。
6回にわたりお届けしてきた、電動車いすでおでかけシリーズ。今はおでかけすることを手放しで勧めにくい状況ですが、いつかまた自由に移動できる時期が来たら、羽を伸ばしてみましょう。まずはご近所から、そして飛行機に乗って遠くまで。
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文/こばやし電動車いすユーザーで、SMA(脊髄性筋萎縮症)2型による四肢体幹機能障害介助を受けながら在宅ワークをしている