こんにちは! 『車いす工房 輪』サポートライターのこばやしです。
電動車いすの故障トラブル。それがもし外出先で起こってしまったら、焦りますよね。
故障が走行機能の部分だったら、大ピンチ。家に帰れるかどうかのサバイバルゲームが始まります。でも、長年電動車いすと付き合っていれば、なんらかのトラブルはつきもの。とくに印象的だった故障トラブル3つを挙げてみました。
■大きい段差を下りた瞬間、バッテリー台が落下
自宅近くの歩道で、大きな段差を下りたあと、何かをガリガリと引きずる音が。自分から見える範囲でおかしなところはなかったので、電動車いすのうしろの部分でなにかが起きたと思い、介助者に後ろから見てもらいました。
すると、バッテリーを乗せる台を固定する部分の片方が外れ、片側が地面についているような状態になっていました。
そのままでは走行できないし、かといって素手で簡単に直せるような場所でもなさそうです。どうしたものかと考えていましたが、そのトラブルが起きた場所は、自転車屋さんの目の前。
自転車屋さんに助けられる
思い切って「すみません……」と声をかけて故障部分を見ていただいたところ、なんと工具を使ってその場で直してくれました。
落下しかけたバッテリーは元に戻り、無事に帰宅することができました。本当に感謝です。あのとき、違う場所で壊れていたらどうしていたかな? と今も思います。不幸中の幸いなできごとでした。
■後輪、外れる
これは自宅で起きたできごと。視界がぐらつき「あ、めまいだ」と思ったら、ゆっくり左の後輪が外れていきました。
10年近く使っていた電動車いすで、海外も旅してハードに使っていたので、経年劣化によるものと思っていましたが、当時の機種ではよく起きていた故障だということです。
なお、バッテリー台の落下や後輪が外れる故障は、当時使っていた電動車いす、Power 9000(アメリカインバケア)ではよく起きていたということですが、今は廃番となっていて、後継機種では仕様変更により改善されています。
■充電できない
イタリアに行ったときのこと。寝るときにセットした充電が、翌朝になっても終わっていません。それほど走行したわけでもないのに、次の日も同じような様子。
本当なら業者さんを頼って見に来てもらいたいところでしたが、そのとき居た場所はイタリア。冷静になってコントローラーの液晶部分を見てみると、エラーコード「C4」の文字が。
それを頼りに、当時使っていた電動車いす、EMC-230(今仙技術研究所)の取扱説明書をスマホで検索して確認。すると、ふだん自分では触ったことがない、バッテリーの「温度センサー」という部分が外れていたことがわかりました。つなぎ直して難を逃れました。
ホテルに到着後、階段をのぼる際にバッテリーを外したのですが、そのときに誤って温度センサーの部分を引っ張ってしまったことが原因と思われます。
■もしおでかけ中に故障してしまったら
一番の問題は帰宅方法だと思います。電動車いすはそれだけでも重量があるので、手動に切り替えて帰宅するのは難しいでしょう。
もしものときのために、リフトカー会社や電動車いす業者さんの電話番号を携帯に入れておいて、外出先でも連絡が取れるようにしておくのもひとつの手です。
リフトカーで家の前に着いても、重くて玄関のスロープを手動で上がれない、ということもあるかもしれません。そこで、あまりおすすめはできないのですが、バッテリーを一度外す方法もあります。
機種にもよりますが、電動車いすのバッテリー重量は2個でおよそ40kg。これを外せば40kg分軽くなります。配線が複雑なので避けたほうがいいと思いますが、最終手段として考えておいてもいいかもしれません。
これまでの自分の経験では、どうしようもなく困ったというトラブルは幸いにもないので、外出に際してあまり神経質になる必要はないかなと思います。
ただ、おでかけ中にトラブルが起こったこときのことを頭の中でシミュレーションしておくと、必要な対策が見えてくるので、それらをあらかじめ準備しておくと安心材料にもなりますね。
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