「原則として」が追記されました。リチウムイオンバッテリー支給のはなし

ん?どこが変わっているの?と思ってしまうような差ですが、
原則として」と追記されました。
このたった5文字によって救われる人がいるのです。

「補装具費支給事務取扱要領」 一部改正 障企自発0331第1号 令和3年3月31日
にて一部改正がありました。

▽改定後の文面

▽改定前の文面
第6 車椅子及び電動車椅子に関する取扱い
1 バッテリーの取扱い
電動車椅子のバッテリーについては、日常生活圏における坂道及び悪路の状況等、
使用者の使用環境等を十分把握し、適切なバッテリーを選定すること。
なお、リチウムイオンバッテリーは簡易型電動車椅子に限り支給可能であること。

ちょっと詳しく説明します。
車椅子は大きく分けて3種類あります。
詳しくはコラムをお読みくださいね。

コラム『手動車椅子・簡易型電動車椅子・電動車椅子の違いについて』

手動車椅子    → 手で漕いだり、人に押して貰う人力車いす
簡易型電動車椅子 → 手動車椅子の後輪をモーターが付いたものに付け替えたもの(以前は手動兼用型車椅子と言われていました。)
電動車椅子    → 電動で動かすことを前提に作られています

簡易型電動車いすはアシスト自転車のように、簡単にバッテリーパックを抜き差しできるものが多いです。
最初出始めのときには、ニッカドバッテリーでしたが、技術革新に伴って、ニッケル水素バッテリー、リチウムイオンバッテリーと進化してきました。

電動車椅子は車重が重く、パワーが必要ですので、主流は鉛バッテリーです。
昔はバッテリー液を補充する液体バッテリーが多く、バッテリー液が減ると補充液を入れていましたが、
これはもう全く見なくなりました。

現在はメンテンスフリーなシールドバッテリーや、外国製に多いゲルバッテリーが主流です。
液体バッテリー、シールドバッテリー、ゲルバッテリーは、鉛バッテリーの種類違いです。

そして、ここ数年で登場したのが、リチウムイオンバッテリーを搭載した電動車椅子です。
リチウムイオンバッテリーはエネルギー密度が高いので、より小さくより軽くすることが出来ることから、
比較的重量が軽い電動車椅子に採用されるようになりました。

例えば

◯電動ティルトリクラ機能の付いた軽量型中輪電動車椅子 今仙技術研究所 の LGS-TR1 Light6

https://www.imasengiken.co.jp/product/emc/lgs-tr1.html

◯工具なしで分解できる WHILL(ウィル)株式会社 の WHILL type c2(type C)

これらの電動車椅子はリチウムイオンバッテリーを搭載しています。

しかし、従来の補装具費事務取扱要項にはリチウムイオンバッテリーは「簡易型車椅子に限り支給可能」と書かれていた為に、一部特例的に認められていた地域を除き、リチウムイオンバッテリーを搭載した電動車椅子は支給されないという事例がありました。

なお
平成30年5月11日に
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 が 各障害保健福祉主管課宛に出した事務連絡には以下のようなQ&Aがあります。

Q 今般の補装具告示改正で追加された、電動車椅子に係るバッテリー(リチウムイオン電池)交換について、具体的な対象者はどのような者か。

A 電動車椅子のバッテリーの選定にあたっては、これまでも個々の身体機能や能力、病状、日常生活圏における坂道及び悪路の状況等、使用者の使用環境を勘案し、支給決定されている。
電動車椅子に係るバッテリー(リチウムイオン電池)交換の対象者についても個々の状況を総合的にご判断頂きたい。

今回の改定で「原則として」と書いて頂いたことでユーザーさんが選べる車椅子の範囲が増えたと思います。
この問題に悩むユーザーさんにとっては大きな意味を持つ5文字だと思います。地域に暮らすユーザーさんの実情やニーズに合わせて弾力的に制度運用されることを願います。浅見

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