P-5:一人の時間も、自分で自分の好きなように姿勢変換できる。

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佐野 太亮さん 20歳(P-5納車時)

デュシェンヌ型筋ジストロフィー

拘縮・側弯があります。脊柱固定術を受けています。

また、自力での体位変換は出来ません。

現在は、家族と自宅で暮らしており、平日5日間は通所しています。

通所施設からの帰宅後、夕方から夜までの5時間程家で一人で過ごします。

ヘルパーを入れていないので、P-5導入前は一人の時間は同じ姿勢を取り続けざるを得ない状況で、身体の痛みをを抱えていました。

P-5(ピーファイブ)導入のきっかけ

17歳まで座位保持装置付きの簡易電動(普通型)車いすに乗っていましたが、同じ姿勢での座位を続けることにより、身体の痛みを抱えていました。
作り変えのタイミングで「安楽に乗車できる車いすを作りたい。」とのことで、当工房に声をかけて頂きました。
 
そこで、電動車いす(電動ティルト・リクラ機能付き)をベースに、座位保持装置は体の変形に合わせて調整可能な“三次元背張り式”を採用した車いすを製作しました。
 
その後、屋内用の座位保持装置を製作したいという相談を受け、工房輪オリジナルのP-5(ピーファイブ)をお試しいただきました。
“回旋(ねじる)・側屈(左右に傾く)”機能をとても気に入っていただき、導入が決まりました。

P-5を実際に使用してみて

今までもティルト・リクラのついた電動車いすに乗っていましたが、P-5は比べ物になりません。

特に“側屈”と“回旋”がお気に入りです。

脇や背中をひねったり伸ばしたり出来るのは、とても気持ちがいいです。

他の人に頼まずに、自分の好きな時に好きなだけ出来ること。

なかなか伝わらない微妙な角度調整も思い通りになり快適です。

首の筋肉もほぐれ、横が見やすくなったり、首がつらくなくなりました。

呼吸回数も減って、ラクに出来るような感じがします。

P-5を自分で操作したかったので、スイッチは特に時間をかけて作ってもらいました。

片手の親指だけで弱い力で押せるスイッチ、身体を傾けても手から離れないスイッチはとても使いやすいです。

浅見さんは相談すると、何故かうれしそうです。

にこにこしながらいろいろな提案をしてくれます。嬉しいです。でも不思議です(笑)

車いす工房 輪の皆さん、僕の思い通りの車いすを作ってくれてありがとうございました。

  佐野 太亮

—工房より

日常生活の中にP-5がすんなりと溶け込んだようで良かったです。

嬉しい感想をいただき、ありがとうございます。

製作にあたっては、担当の理学療法士を含めた打ち合わせ・仮合わせを重ねました。

ご本人が一番大事にしていた“自分で操作できるスイッチ”は、色々な案を模索しましたが、作業療法士の方の手を借りることで実現に至りました。

納車から三か月。不具合が起きていないということで、安心しております。

今後は、バッテリー・タイヤ交換などの基本的なメンテナンスはもちろん、身体の状況の変化に応じて対応させて頂きます。

困ったときには相談してもらえるようなパートナーでありたいとおもっています。

 

車いすの仕様

   
車種 EMC-250
今仙技研
機能ティルト・リクラ・側屈・回旋・伸展(すべて電動)
付属品・その他木製カットアウトテーブル
胸ベルト・骨盤ベルト・幅広アームサポート・肘落ち防止パッド等
全て佐野様の身体に合わせたオーダーメイドです。

操作部の説明

走行は右手側のジョイスティック、姿勢変換は左手で行います。
左手で行う姿勢変換は①リクラ②側屈③回旋④伸展の4種類です。
それぞれ上下または左右の合計8個の入力が必要です。
佐野様は、指の可動域が狭い。スイッチを握ることが出来ない。という前提がありました。
そこで、本人の左手に合わせたスプリントを製作し、埋め込んだ2つのスイッチで操作する方法を採用しました。
本人が操作するのに必要なのは、左手のスイッチA・B、セレクターランプです。
 

【操作方法】

スイッチを押す(A・Bどちらでも)

セレクターランプ5つが順番に点灯。

待機→リクラ→側屈→旋回→伸展

操作したい機能が光ったら、スイッチを押す。

スイッチA:上または左

スイッチB:下または右

 

複雑そうに見えますが、佐野様はすぐに操作に慣れました。

また、介助者が直感的に操作できるスイッチも装備しています。

担当PT(理学療法士)より

佐野様の場合は、(同年齢のDMD患者としては決して珍しくない程度ですが)拘縮や側弯がそれなりに出現しており、右臀部の疼痛の訴えが聞かれました。

P-5に関しては、本人自身が安楽な姿勢を作ることができる、また自由に姿勢を変えることが出来る点が出色と感じています。

疼痛がなく、安楽に長く座っていられることは、車いすを使用する患者様にとってはとても大きな価値があると考えます。

佐野様の場合、ベッドで臥床しているより、P-5に乗車しているほうが安楽だと思います。

佐野様の年齢相当のDMD患者の場合は、ベッドでの自力での姿勢変換はほぼ不可能ですので。

広い意味では、P-5は自分で自分の身体をケアできる道具とも言えるかもしれません。

 

佐野様の年齢相当のDMD患者の場合、呼吸筋の弱化による一回換気量の減少と、それを補うための呼吸回数の増加は、ある程度避けられないものと私自身は考えておりました。

浅見さんに指摘をしていただき、初めてP-5乗車時に佐野様の呼吸回数が減少していることに気付きました。(PTとしてはお恥ずかしい限りです)

P-5乗車時には一回換気量が増大していることが想像されます。

 

P-5に対して、私が当初わずかに抱いていた不安は、電動での可動部が多いため故障が起きないか(動かないもしくは止まらない)という点でした。

その点H様(4年前に導入された方)の使用状況からも、そのような故障は起きていないので安心しています。

今後も(費用的に許される範囲で)更なる安全対策が講じられると、より安心です。

 

―以下、後日外来の際に聞き取った感想です。

使用時間は、通所施設から帰宅後、就寝までの6時間程度。トイレや入浴時以外はずっと乗車しています。

途中、臀部などの疼痛の訴えなく連続乗車しています。

乗車中、絶えず姿勢を変えているため、お母様は(モーターの音が)「うるさい(笑)」と言っていますが、本人・お母様ともP-5導入に対してとても満足度が高い様子が伺われました。

また、お母様より「言われてみて気づきましたが、呼吸が楽そう」との発言がありました。本人からも「そういえば呼吸が楽」との発言がありました。

本人のP-5の点数は、100点満点中「100点」だそうです。

P-5乗車時に見られる身体の変化について

過去にP-5を導入された方々より、

「休息姿勢をとった際の息苦しさが減った」

「P-5独自の動きにより、人工呼吸器を使用することなく休息姿勢をとることが可能になった。(P-5導入前は使用していた)」

との声を頂いておりました。

P-5独自の“回旋”“側屈”機能を使い、身体の変形に合わせた姿勢が取れるからと考えられます。

このような効果は我々も想定していなかったので、とても驚きました。

 

そこで、P-5によって、身体にどのような変化が起きているのか。

PT(理学療法士)さんにご協力いただき、いくつかのデータを計測してみました。

計測について

姿勢変化により身体にどのような変化があるのかを調べるため、4種類の姿勢で5項目を計測しました。

まず、姿勢は4種類。

・旧車いす:ティルト・リクラしない状態

・P-5:基準とする姿勢

・P-5:本人が安楽に感じる姿勢

・P-5:PT(理学療法士)さんが安楽と考える姿勢

 

計測項目は5項目。

①サチュレーション

②心拍数

③呼吸数

④肺活量

⑤フェイススケール

 

①②③は、姿勢変換後5分間の安静の後計測。

④は3回ずつ計測。間に1分間の安静をはさむ。

⑤は自己申告

P-5:3種類の姿勢(図)

P-5:3種類の姿勢(数値)

計測結果

④サチュレーション②心拍数③呼吸数の計測結果

④肺活量の計測結果

⑤フェイススケール

旧車いす

P-5:基準姿勢

P-5:本人姿勢

P-5:理学療法士姿勢

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