その時々を、自分らしく生きる。

地域で自立生活をされているこばやしさん。
脊髄性筋萎縮症(SMA)という障がいです。
重度訪問介護を利用しながら、在宅でお仕事をされています。
工房輪のサポートライターでもあり、ユーザー目線での車椅子解説をして下さっています。
→こばやしさんのコラム
生活の雰囲気を垣間見ようと、ご自宅で取材をさせて頂きました。

 

もくじ
1.ご自宅について
2.日常生活
3.仕事について
.イタリア旅行
5.自分らしく生きるとは

 .ご自宅について

 
 
-お部屋のインテリアがおしゃれですね。

 

2016年から在宅の仕事を始めて、それまでみたいに外に行く機会が少なくなりました。
家の中を充実させたいと思って、絵を飾ってみたり、植物を育ててみたりしています。
インテリアが好きで、出かけた先で買ったのものや、ネットで買ったもので揃えています。
 
-こちらの建物は、玄関に来るまでの段差が多いですね。お出かけの時は大変じゃないですか?
 
建物入り口の階段の角度が急で、常設スロープが設置できませんでした。
仕方なく、出かけるたびに長い簡易スロープを設置しています。
 
でもそのおかげで嬉しい出来事もありました。
まだ在宅ではなく、通勤していた頃の話。
同じアパートに住む2~3歳くらいの男の子が、スロープをかけて上り下りするところを度々見ていました。
その子が小学生になった頃、たまたま落ち合うと手伝ってくれるようになりました。
スロープを自宅玄関まで運んでくれたりして。
すごいかわいいなぁと思います。

 

 
 
-犬はいつから飼われているんですか?
 
犬は2016年の8月に飼い始めました。もう四年になります。
きっかけは、ペットショップでひとめぼれしたことでした。
海外旅行に行く前に見て、かわいいなと。
その後も何度かペットショップに足を運び、もし、帰ってきてまだいたら運命だと思って連れて帰ろうと心に決めました。
旅行を終えて帰ると、まだいました。しかもSALEになってて。超特価と書かれていました…。
これは連れて帰らなきゃだめだな…と。連れて帰りました。
 
たまに、車椅子と私、どっちを飼い主と思っているのかな?と思うことがあります(笑)
タイヤに鼻をくっつけて寝たりするんです。
おかげで1ミリも動けなかったりします。
2.日常生活
-お休みの日のお出かけはどこに行かれますか?
 
新宿が多いですね。
都心の方に住んでいる友人に会うのに、新宿が出やすいので。
友人とお茶したり、買い物したり、映画を観に行きます。
西武新宿駅のカフェでイタリア語のレッスンを受けていたので、毎週通っていました。
 
-コロナによる生活環境の変化はありますか?
 
4月1日以降一回も外にでていません。半年ほど。※取材は2020年夏ごろ
心配なのもあるし、在宅なので、もともとお出かけもあまりしません。
行きたいところといえば本屋とか密になりそうなところが多いですし、しばらく家でいいかなと思っていました。
 
コロナになっていろいろと生活が変わりましたが、その中には良い事もありました。
ライブハウスのトークイベントなど、コロナの影響で無観客になって、ネット配信をしてくれるようになりました。
今まで行きたいと思っても行けなかったイベントが、家で見られるようになりました。
 
もちろん、コロナ禍が去って社会が今まで通りに戻ることを願っていますが、不自由を感じる人が多数になると変わ
ることもあるのかな、と思いました。
3.仕事について

 

-今までどんなお仕事をされてきましたか?
 
2000年から高卒で地元の企業に就職して、5年間勤めました。
 
その頃、同郷の友人が東大和市の自立生活センターで働いていることを知り、私もそのセンターに関わりたいと思うようになりました。
 
2005年。ひとり暮らしを始めると同時に東大和市に引っ越しました。
 
家探しは、職場・病院・駅が徒歩圏内にあることが条件で、地図を見て半径何メートル以内という風に候補を挙げて決めました。
 
自立生活センターでは、主に介助者派遣部門の会計の仕事をしました。
最初はイベント企画の仕事をする予定でしたが、ちょうど会計の前任者が別の事業所に移る事になって、じゃあそれをやりますと。
「必要とされるなら、それをやろうかな。」と始めて、そのまま約10年勤めました。
 
その後、そろそろ違うことをやってみたいと思って退職をし、自分にできる在宅の仕事を探しました。
 
2016年から受発注管理の仕事をしましたが、待機時間が長く出来高制なので収入的に厳しく、1年程で辞めました。
 
2017年からは今の仕事である、記事作成の仕事を始めました。
 
本当は、10年以上続けた会計の仕事をしたかったのですが、
学歴で応募条件にあてはまらなかったり、
最初の数か月間は研修で通わなければならなかったりで、ハードルが高かったです。
 
すぐ始められて、自分にできるものを探していたら、記事作成の仕事に出会いました。
 
最初は手探りで、一つの記事を書くのにすごく時間がかりました。
やっていくうちに、だんだんコツをつかんできました。
 
-やってみてどうでしたか?
 
web上でどうやって記事が書かれているかを知ることが出来ました。
ホームページってどうやって作られているのか、CMSの使い方など勉強できて良かったと思っています。
2年過ぎた頃には、グループのリーダーを任されるようになりました。
 
-日々どのくらい仕事をされていますか?
 
すごく波があります。
締め切り間近だと、朝から23時くらいまでパソコンの前にいます。
逆に締め切り後は2,3日パソコン自体さわらなかったりもします。
 
本当は在宅で時給の仕事がしたかったんです。
でも、重度訪問介護を使いながらの就労が認められませんでした。
 
やりたい仕事というよりは、その時にできることを選んだという感じです。
 
-なぜ、重度訪問介護を使いながらの就労が認められなかったのですか?
 
市に交渉をしたら、“税金によるサービスを受けながらの生産活動は認められない”と言われました。
もう少し交渉しようかと思ったけど、生活の変化でいっぱいいっぱいな時だったので気力がありませんでした。
 
-就労中のヘルパー利用が認められた市もあるようですね。
 
すばらしいと思いますね。
自分も見習いたいなと思います。
気持ちではそう思っても、今のままで来てしまっています。
 
-そういう制度があったら使いたいですか?
 
もちろんです!
web関係の仕事をやりたいです。
今のような波がある仕事よりは、安定した仕事に就きたいです。

 

 

4.イタリア旅行

 

-イタリアに行かれた事があるんですよね?
 
はい。電動車椅子で2回行きました。
まだイタリア語を習い始めて半年くらいでしたが、“行ってしまえ”と思って行きました。
一生に一度という思いでした。
 
-なぜイタリアだったんですか?
 
シルク・ドゥ・ソレイユの舞台を観に行ったのがきっかけでした。
イタリア語公演だったのですが、言葉の響きをとても気に入ってしまって。
言語がイタリアに興味を持つきっかけになり、イタリアが好きになりました。
 
1回目は、普通型の電動車椅子でしたけど、今ほど障害が進んでいなかったので不便に感じることはありませんでした。
自費でヘルパーを二人連れていきました。
 
2回目は、ティルトがついた電動車椅子でした。障害が進行してずっと座っていると疲れちゃうので、ティルトで休憩しながらでした。
友達がひとりついてきてくれたので、ヘルパーはひとりでした。
 
 
-何が印象に残っていますか?
 
泊まったホテルの裏にあった、お土産屋さんのおじちゃんと仲良しになれたのが一番よかったです。
入り口の段差が大きいお店で、入れないよと言われました。
折り畳みのスロープを見せて、これをつければ入れるよって言ったら、おじさんがすごい感動してくれて。
毎日そこに水を買いに行きました。
トレビの泉に行きたいけど道がわからないって言ったら、手書きのぐちゃぐちゃな地図を書いてくれました。
日本に帰る日に、お店の奥のほうから何か出してきたと思ったら、中田の生写真だった。
あげる!って。日本人のサッカー選手の写真あげるよって。
地元の人としゃべったのがすごく楽しかったです。
 
-イタリアの街は日本と比べてどうですか?
 
行ったのはローマの観光地だけですが、そこに限って言えば、車椅子の人をほとんど見かけませんでした。
街を歩いていると、知らない人に頭をなでられたり、肩に手をおかれて拝まれたり。
カトリックの国なのでそういう行動にでるのかなぁと。
それが文化なのかもしれないと思ったので、悪い気はしなかったです。
 
-2回も行かれたんですね。
 
2回目は、ヘルパーをやってくれてた女の子が海外に留学して、“イタリアに滞在するから現地で会いませんか?”と誘われて。
“行くよー!”と、行きました。
 
気楽に行くよと言ったものの、準備が大変でした。
呼吸器を持って飛行機に乗るのに、揃えなければならない書類がたくさんで。
4か月くらい前から準備をはじめました。
呼吸器と電動車いすのバッテリーについては空港でも質問されるのですが、片言でなんとか切り抜けました。
 
現地で電動車椅子の充電がおかしくなったことがありましたが、
ネットで電動車いすの取説を探して、なんとか解決しました。
 
-二回も経験したら、もう慣れましたか?また行くとしたらどうですか?
 
あんなに大変なのはちょっと…もうやだな。笑
準備も大変だけど、フライト時間がとても長いので。2回目のときは悪天候だったこともあり、16時間くらい乗りっぱなし。
機内の座席に座っているのが辛いです。
飛行機の中でも車椅子に乗れたらいいなと思います。
 
-もし、過去の自分にアドバイスするなら、イタリアに行けって言いますか?
 
言います!
大変だったけど、それ以上に忘れられない経験になったので、行ってよかった。
迷子になったりもしたけど、トラブルを楽しめました。

 

5.自分らしく生きるとは。
「怖いもの知らず」が怪我の功名となったのか、思い切った行動に出ていたのが、今までの自分らしい生き方だったんだと思います。
今は何に関しても、能動的というより受動的な部分が多いですね。
変化を柔軟に受け入れられるようになることが、これから自分らしく生きるための課題だと思っています。
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